「痛ーい!」
「ん?日本人…なのか?」
怪我は無いようだ。
ブラセリー・ハルクがすかさず割って入ってきた。
「怪我が無いようだから良かったが、君たちスノーボードをする人は座る場所を考えなきゃ、危ないじゃないか」
怒っている。
相当、スノーボーダーに恨みがあるようだ。
「私、英語わかんない!何言ってるか、わかんない!」
こっちも怒っている。
「いやいや、ぶつかったのはこちらだ。悪かった。怪我はないか?」
日本語で話しかけた。
「え?日本の人?」
「いや、日本の人でも無いのだが…」
「あれ…?」
「ん…?」
お互いに、何か聞き覚えのある声であることに気づいた。
「ヴラちゃん?」
「へ?」
「ヴラちゃんでしょ!」
彼女はゴーグルを取った。
「貴女はゆき…さん?」
なんと、※ダイアンのゆきであった。
そう言えばゆきは、私が休暇を取る2〜3日前から風邪を引いたと言う理由で休んでいた。
「どうして、ヴラドさんがニュージーランドにいるの?」
「
いや、私は休暇を取って来たのだが…」
「そうなの?…すっごーい、偶然だねー」
「確かに…」
「私はね、友達がこっちにいて、いいシーズンだからボードしに来ないって誘われて…。あっ、だけどお店の人には内緒ね。休みくれないから病欠にしてるの」
「それは知っている。だが、奇遇だなぁ」
やはり、驚きを隠せなかった。
こんなところで、それも少々気になっていたゆきに出会うとは。
何かの運命であろうか。
「ヴラドさん。その人誰?」
「あぁ、紹介しよう。私の古くからの友人でブラセリー・ハルク氏だ」
「こんにちは」
ブラセリーはヴラドとボーダーの女性が知り合いであることに、少々あっけに取られながらも、
「先ほどは失礼しました。ブラセリー・ハルクです。よろしく」
「ヴラドさん。何て言ってるの?」
「あぁ、失礼したと言ってる」
「ううん。こんなところでこけてた私が悪いんだから、こちらこそごめんなさい」
ブラセリーは意味がわかったのか、会釈をして、
「では伯爵、私は人を待たしているのでこの辺で。また、近いうちにお会いしましょう」
と、言い残し颯爽と滑り降りていった。
見送る私に、ゆきは
「ヴラドさんはスキー派なのね。スノーボードはしないの?」
「スノーボードはしたことが無いが…」
「え〜、しないの〜?楽しいよ。」
「あぁ。いや、これからちょっとやってみようかな…なんて…」
結構、優柔不断である。
それから、早速レンタルボードを借りに行き、時間の余す限りスノーボーダーへの道を突き進んでいったのは、もう言うまでもない。
そこには、なんとなくハッピーなニュージーランド旅行を楽しんでいるドラキュラの姿があった。
いやいや、スノボもなかなかよいぞ♪
