急な話だったので、大慌てで準備をし人間だった頃に取得したパスポートを握り締め、ニュージーランド航空の直行便に飛び乗った。
ニュージーランドの気候は、海洋性のために1年を通して比較的温暖で、日本のような四季の変化は無い。
とは言っても南半球に位置する為、季節は日本とは逆。
小さいながらも(日本の3/4程の面積)南北に長い国なので、地域による気温差も大きい。
そう、今が絶好のスキーシーズンなのだ。
勿論、会合が目的ではあるが折角行くのだからしっかりスキーも楽しむ事にした。
時差も日本時間プラス3時間程度なのでほとんど影響はないし、公用語は若干訛りはあるものの英語だから心配ない。
突然行くことになったが、それほど準備に気を遣う事もなく済んだ。
会合は山間部のワナカと言う町のマウント・アスパイアホテルで開催された。
マウント・アスパイアホテルは、ワナカで唯一、クオルマーク3つ星にランク付けされたホテルで美しい並木通りのマウント・アスパイア道路沿いに位置しており、ワナカ湖の湖畔までも歩いてすぐの好立地条件であった。
ただし、当然人間が利用する為のホテルであったので、我々はバンパイアである事を隠し、人間の姿での会合となった。
この会合の趣旨については人間達の行く末も含め、我々に近づいている大きな存続の危機に対する調査、研究の発表、そしてその対処方法についての意見交換が主な物であった。
この事については、近い将来書き記さなければならないとは考えているが、今回は見送ることにしよう。
議論も白熱し、1昼夜に及ぶ会合はなんとか終わり、各国バンパイア達はそれぞれ余暇を楽しむ者と帰国する者に分かれた。
勿論、私は余裕を持っての休暇を貰ってきた事もあり、最高の雪質、壮大な景色を誇るカードローナスキー場で好きなスキーを楽しむことにしたのである。
実は他にも近くにトレブルコーンスキー場と言う、上級者用のコースを多数持つスキー場もあったのだが、暫らくスキーもしていなかったと言うこともあり、安易な気持ちでカードローナスキー場を選んだのだった。
この時点で私は自分が選択したミスに気づいてはいなかったのであった。
第10夜【ニュージーランド編】その弐に続く
