ここがドラキュラのドラキュラ所以であるところだ。
棺から出ると先ずシャワーを浴び、牙を磨き、漆黒の長い髪をオールバックに撫で付ける。
体質的に汗は掻かないのだが、念のためクリニークのスクラッフィングローションで肌を叩く。
服をを身に纏う前に、軽くブルガリのブループールオムを振る。
ブループールオムも好きだが、シャネルのアリュールオムスポーツも気分を変えたい時などに良くつける。
トレードマークである『Dracula's costume』は、昔オーダーしていたTailorが現代ではなくなっているので、ギリシア人デザイナーである、ソフィア・ココサラキに特注している。
いまや、ブランド『Sophia Kokosalaki』はレディースファッションブランドとして、イギリスでは不動の地位を築いているようだが、私としても嬉しい限りである。
彼女の着心地を重視した縫製、裁断の技術、レザーやドレープを駆使したデザインセンスは、『Dracula's costume』を任せるに値した。
特にマントの素材の選定、色使い、裁断、縫製の完璧さは他に真似の出来る物ではない。
私のクローゼットに並ぶ『Dracula's costume』は全て、彼女のデザインである。
…さて、準備は出来た。
両手で頬をパンパンと2回叩き、下僕たちに会釈を残し、私は館を後にした。
