ヴラドの奮闘日記

現代日本に蘇ったドラキュラ【ヴラド・ツェペシュ】が、時代とのギャップや人間関係に日々悩みながらも奮闘する姿を、自ら書き下ろしたノンフィクション?ブログです。
このブログは昨年 http://hp.cafesta.com/hikaruhosizoraで書き下ろしたものを、取り纏めて公開しています。

第4夜 【インターネット編】前半

2005-09-17
「こんな所に、こんな古い家があったかなぁ…」

「どうなんですかねぇ。あまり、この辺までは来ませんしね」

「しかし、不気味な家だな。だだっ広い上に、薄暗いし」

「先輩…あれ、何ですかね。あの大きな箱」

「うーん。なんだか、棺おけみたいに見えるが…」

(棺おけではない。棺だ。…ま、どちらでもよいが)

「ミイラでも入ってんじゃないんですかね」

(ミイラではない。ドラキュラだ)

NTTからの依頼で来た配線工事の2人は、どうやら私の入っている棺が気になって仕方がないようだ。

前もって、不在だから勝手に入って、工事をするよう言ってあったので、この家の主が棺の中で様子を窺っていよう等とは、思いもしないだろう。

電灯がないと言っても、工事がしやすいよう、カーテンを全開にしている窓からは、陽の光が差し込んできており、昔のように灰になることはないにしても、紫外線アレルギーの私としては工事に立ち会う訳には行かない。

前もって、マスターから段取りの電話をして貰っているだけあって、手際よく作業は進んで行く。

「よし、開通試験もOKだし帰るとしようか」

「そうですねぇ…」

「ん、…どうした」

「先輩。…ちょっとあの箱、覗いてみませんか」

(…な、なんだと)

「ばかな事、言うな。人様の家の物を勝手に触るわけにはいかんだろ」

(さすが、先輩だ。しっかりしておる)

「だけど、盗むって訳じゃないんですから…」

「…ま、それもそうだな。見るだけだからな」

(まずい…)

近づいて来る2人の足音を聞きながら、私は究極の選択を迫られた。

この姿を見られたら、間違いなく私はドラキュラであることを見破られるであろう。

見破られないまでも、変態扱いされるのは間違いない。

現代の領主になることを目論む私としては、今、正体を暴かれる事は致命傷である。

…変態扱いは、もっと困る。

こうなれば、仕方がない。

棺から飛び出し、2人の生血を吸い、私の下僕となって貰うしかない。

今時、流行らない方法だがやむを得ない。

どちらかの手が、棺の蓋にかかった。

「先輩。結構重いですよ。この蓋」

「そうか。よし、じゃ、手を貸そう」

蓋は鈍い音を立て、少しずれた。

隙間から、陽の光が差し込んできた。

私は、日焼け止めを塗っておけば良かった等と、つまらない後悔をしながらも牙を剥いた。

ギャー!!

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